|
人力ヘリコプター「YURI II」始動,
高高度フライトと操縦性能の向上を目指す
98年12月22日から24日にかけて,千葉県船橋市にある日本大学理工学部の体育館で,日本大学理工学部航空宇宙工学科3研究室の合同プロジェクトは,人力ヘリコプター「YURI II」のテストフライトを実施した。
YURI IIにパイロットを乗せての本格的なテストは今回が初めて。残念ながら今回のテストでは機体は浮上しなかった。テスト中の機体はバランスが安定していたが,23日午後のテストでブレード1枚を破損してしまった。
YURI IIは,1994年3月7日に19.46秒のフライトに成功した人力ヘリコプターYURI Iの後継機種。日本大学理工学部航空宇宙工学科3研究室の合同研究プロジェクトで,参加しているメンバーは,学生9人,大学院生2名,教員6名の計17名。アドバイザーとして「YURI I」のプロジェクトを進めてきた内藤晃氏も参加している。
YURI Iと大きく異なる設計

図1●YURI I
|
初代のYURI Iでは,4つのローターの中心にパイロットが乗り込むようになっていた(図1)。YURI IIはこれと大きく異なり,3枚ブレードの1ローターで,それぞれのブレード先端にあるプロペラが,ブレードを回転させる機構をとっている(図2)。1号機と2号機で大きく構造が異なるのは,これらの機体がそれぞれ異なる技術的な課題を克服するための実験機であるためだ。
プロジェクトの最終目標は,アメリカヘリコプター協会(AHS)により設定された,国際人力ヘリコプター賞「シコルスキー賞」を獲得することにある。シコルスキー賞は,AHSが設定した条件を満たしてフライトした人力ヘリコプターに対して2万ドルが贈られるというもので,1980年に設定されて以来未だ受賞者はいない。AHSが設定した条件の中に「機体は10m角の中で1分間浮上を継続し,その間に機体の最下部が一瞬でも地面から3mの高さに達すること」とある。

図2●YURI II
|
YURI Iでは,地面効果を巧みに利用することで,人力ヘリコプターが安定して浮上できることを証明した。しかし,シコルスキー賞の規定では最低1回3mの高さを超える必要があり,この場合地面効果を期待できない。また,1分もの長いフライトになると,飛行中の機体を安定させるために,機体をコントロールする機構が必要となる。これらの課題を克服するため,YURI IIでは,パイロットの上方にブレードを配置し,地面効果の影響を少なくし,機体制御用のフラップを各ブレードの先端に配置している。また,機体中央部分を覆っているシートは,ブレード中央付近での空気の吹き上げを利用して,少しでも揚力を稼ぐためのもの。「アップ・ウォッシュ・セール」と呼んでいる。
今後は記録飛行も予定
YURI IIの機体重量は約30Kg,パイロットは50Kg強,ブレード1枚の長さが約10m。ブレードの桁にはスプルース材をスチレンボードで固定したもので,翼型にはDAEシリーズの変形型を用いている。パイロットは研究室所属の学生3名で,特別な筋力トレーニングは行っていないという。今後はテストフライトと細かい調整を繰り返し,ある程度飛行が可能になった段階で飛行時間と高さの記録に挑戦する予定だ。
試験飛行時のムービー
・上方から,1.1Mバイト
・側面から,1.6Mバイト
・クラッシュ時の模様,1.8Mバイト
(西畑 浩憲)
Copyright(c) 1998 Torippa Project. All Rights Reserved.
|