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2006年07月19日
実績ある機体と豊富な経験を活かす:エアロセプシー
大会も近づき各チームがテストフライトの終了を宣言し始める7月中旬、タイムトライアル部門に出場するヤマハ チームエアロセプシーのパイロットである中山 浩典さんに、旋回フライトについて伺いました。

とりっぱ――タイムトライアルの見どころは何といっても旋回フライトですが、普通にまっすぐ飛ぶのと旋回フライトとでは、操縦面でどういう違いがあるんでしょうか?
中山さん――やってみないとわからない部分は多いけど、僕が今一番気にしてるのは、旋回ポイントを風下側から入るか、風上側から入るかという点。旋回の途中が一番機体が不安定になりやすいので、このときに少しでも安定させられるよう、風に向かいながら旋回ポイントに入ろうと考えています。
とりっぱ――どう旋回するのか、具体的にイメージされていますか?
中山さん――一般的な夏型の気圧配置の場合、右から風を受けながら沖に抜けるような感じになると思うので、そうすると旋回ポイントのポールを右手に見ながら右旋回、時計回りに回るような感じになると考えてます。旋回の半径はやってみないとわからないもんだから、とりあえずポールになるべく近づいて、半径を小さく回るか、大きく回るかは出たとこ勝負でやってみようと思っています。
とりっぱ――人力飛行機は舵が遅れて利くなど、操縦の難しい飛行機です。旋回時はラダー操作を何回かに分けながら、ちょこちょこ軌道修正するような感じで曲がっていくのか、あるいはラダーを切ったまま一気に曲がるのか、どちらの方法で曲がろうと思っていますか?
中山さん――基本的には(ラダー操作を数回に分けることで)きれいな円弧ではなく、お尻を少しずつ振りながら多角形のような軌跡で旋回することをイメージしています。ただ、(旋回終盤の)横風から追い風になる部分では、自然に機体が曲がっちゃうかもしれません。できるだけ機体をバンクさせずに回るのがポイントかな。
とりっぱ――バンクさせるとスパイラルに入るのが怖いということですか?
中山さん――スパイラルに入ると、もうラダーだけじゃ立て直せないし、立て直せたとしてもパワーと高度の損失が厳しいと思ってます。きれいにスーッと旋回するようなイメージで操作すると、ちょっと危険かな。
とりっぱ――旋回時の高度損失に備えるために、高度は高く保ったまま旋回に入るんですか?
中山さん――そうですね。あと、もう一つ高度で注意しないといけないのは、ゴール時の高度です。ゴールしてから着水するまで100mのマージンしかありません。あまり高い高度でフィニッシュラインを切ると、今度着水に必要な距離が長くなって、100m以内に着水しきれないということにもなりかねません。そこはもう一つの難関ですね。
とりっぱ――目標タイムはどれくらいですか?
中山さん――10分以内、一桁台で入ればいいかな。
とりっぱ――かなり安全めの数字ですね?
中山さん――ハハハハハ、そうですね。実際は3kmくらいの経路になると思うんだけど、7~8分ていうのが妥当かも。
とりっぱ――行き帰りで風向きが逆になるという点も難しいところですね。
中山さん――確かにそうですね。ただ精神的に楽なのは、行き先が見えていること。ディスタンスの場合は途中でつらくなっても止めるに止められないし、そこに葛藤があるんですけども、タイムトライアルの場合は目の前にゴールが見えているのでね、あそこまでがんばればいいやと思えるので、ずいぶん楽ですね。
とりっぱ――エルロンを付けてるチームもありますが、どう思いますか?
中山さん――翼の剛性が足りないと、エルロン・リバーサルという現象が起きることがあります。本当はねじり下げなきゃいけないところで、ねじり上げの空力効果が起きる現象です。つまり操縦と逆の挙動が起きるということです。学生の頃から人力飛行機に携わっている経験から見て、人力飛行機にエルロンを付けるというのは、ちょっと難しいかなと思います。翼の剛性を上げれば別ですけどね。
とりっぱ――今回のエアロセプシーの機体は、過去に長距離フライト用に製作した機体を修理したもので、タイムトライアル用に最適化された設計にはなっていません。タイムトライアルを想定して最適設計してある他チームの機体と比べて、不利になりませんか?
中山さん――不利な部分はあるかもしれませんね。ただ、飛ぶという点に関しては実績のある機体ですし、高速仕様にカスタマイズするといっても、どこまで機速を上げられるかというのも分からないですしね。今の機体は、必要パワーが260~270Wで定常飛行できる長距離フライト向けのセッティングになってますが、これを300W以上の必要パワーにして、その分高速フライト向けのセッティングにすれば、機速を上げる余地はありますね。高速仕様にすることで風の影響を受けにくくなり、旋回も小さく回れるような機体ができれば理想的なタイムトライアル機になります。まぁ、ウチのチームの場合そこまでやる時間もないですけど。
とりっぱ――今回、一連のテストフライトに密着させていただきましたが、旋回を意識した特別な練習というのは見られなかった気がします。テストフライトを通して、何か旋回フライトに向けての手ごたえは得られましたか?
中山さん――ハッキリ言って旋回フライトのためのテストフライトって、難しいですね。滑走路の幅が30mくらいしかないですから。ただ、22回大会(1998年)で23km飛んだときに、途中旋回のような操作が何度かあったんですよ。バンクをつけて回ったこともありましたし、そのときの感覚はまだ残っています。それ以上の部分は、出たとこ勝負ですかね。

とりっぱ――学生の頃に旋回フライトに挑戦されていますね。当時はパイロットではありませんでしたが、そのときの経験は今回のチャレンジに生かされていますか?
中山さん――うーん、当時想定していた(回転半径の大きい)旋回フライトなら、今の機体でも十分達成できちゃうんじゃないかと思います。僕らが学生の頃の機体というのは、いかにパワーの少ない飛行機を作って水平飛行できるかというのが最大の課題で、そういう機体を作って旋回してみた、というレベルの話だったんですよね。今だったら、旋回のための設計ということをもっと考えて、いろんなことができるんじゃないでしょうか。
とりっぱ――初代チャンピオンへの勝算は?
中山さん――なんとも言えないですね(笑)。台風さえこなければいいと思ってます。
#最適設計した機体と必殺技「スパイラル・トルネード(仮)」で初代チャンピオンを目指す大阪府立大に対し、実績のある機体と豊富な経験でそれを迎え撃つヤマハ エアロセプシー。なかなか面白い展開になりそうですよ~
投稿者 nishihat : 2006年07月19日 22:53
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